弘法筆を選ばずと言いますが、こと料理に関しては道具は大事!
道具で味が変わります。一番味に差が出ると思うのは、包丁。写真は最近有次さんで求めた柳刃です。包丁、フランス料理をやってたころに集めまくった洋包丁から、曾祖母から受け継いだものなど、量も種類もたくさん持っているのですが、やっぱりね、有次さんの包丁の切れ味は違います。ストレスなく、軽く、綺麗にスパーッっと切れる。包丁というより刀の切れ味に近いような気がします。有次さんの包丁で切りものをすると、にわかに剣術に長けた武士気分になれます。

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道具類、今はどんなものでも安価で手に入るようになって、良い時代だと思う面もありますが、安いものをどんどん買って、ダメになったら買い換えて、というのはかえって損なことではないかと思います。調理器具はある程度性能と値段が比例しているし、良いものは一生どころか、孫曾孫の代までずっと使えるので、良いものを買って、大切に手入れしながら何代も使う方が、ずっと得なのではないかと思っています。

包丁も今は100円で買えますよね。有次さんの包丁は多分、安いものでも1万円くらいすると思うのだけど、でもね、この差は単純に100倍じゃないんですよ。味の違い、料理する時の楽しさ、100年は余裕で使える品質、って考えていくと、もう全く価値が違う。値段は100倍だけど、そこから生まれる価値の差は100万倍は軽く違うと私は思います。

調理道具に限らず、どんなものも、作り手が気持ちを込めて作ったものを、大事に長く使って行きたいと思っています。でも今は、どんどん安く、安くが好まれて時流は全く逆なんですよね。

食品だってね、手間と気持ちが込められて作られたものは、やっぱりそんなに安くはならないんですよ。でもね、美味しさが違う。食べたときの満足感が違う。それが積み重なれば、身体への影響だって違ってくる。そうした価値を分かった上で商品選択していかないと、価値ある商品や技術が消えてしまう。素晴らしいものを適正価格で、という風に時流が向くと良いなと思っています。

京都の老舗は、良いものを適正価格で(東京育ちの私からすればいささか安すぎる気もする)提供されているのが素晴らしく、お買い物するたびに、「この商品を作ってくださってありがとうございます」という気持ちでお買い物が出来るのが、なんとも気持ちよく、これがジャパニーズスタンダードになれば、日本はもっと素晴らしい国になるのにな、そのポテンシャルはあるのにな、と思うこの頃です。

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