ロー(生)マヌカハニーと加熱マヌカとの違いを考える

先日普通のはちみつの、ロー(生)と加熱したものの成分変化について書きましたが、今日はマヌカハニーにも触れたいと思います。

今どきはマヌカもロー表示のものが出てきているんですね。

このロー表示、何をもってローと表示するか決まりがないようで、そのまま不純物だけざっとろ過してパッケージングしたものと、低温加熱処理したもの、両方ともローと表示できるようです。

普通のはちみつとマヌカハニーの成分で、大きな違いは、マヌカハニーにはメチルグリオキサール(MGO)という成分が多く含まれているという点です。

このMGOは抗菌活性成分のため、マヌカハニーには傷を治したりする効能があるのではないかと期待が持たれているのですが、MGOは熱に強く、例えばコーヒーやココア、チョコレートなどにも含まれています。

ですから、マヌカハニーに最も期待される成分、MGOは加熱しても損なわれないので、ローである優位性は無いように思います。

何でこんなに、ロー(生)はちみつがもてはやされるのか。

私は仕事で、はちみつを扱っているメーカーさんや代理店とのお付き合いもあり、製造に関してや市場をとりまく問題などお話を聞く機会があるのですが、はちみつは、生産者によって品質の違いがかなりある商品だと伺います。

粗悪なものだと、水飴や果糖ぶどう糖液糖をこっそり加えて、粘度を上げるために加熱して水分を飛ばすという加工処理をしたものが、市場に出回っているという現実があるようです。

ロー(生)が良い、という意見の一部には、こうした粗悪(というかニセ)はちみつとは違い、純度100%のはちみつなのだ、ちゃんと蜂が作ったはちみつを集めてパッケージングしたものなのだ、ということを主張したい気持ちが行き過ぎて、加熱はちみつより良いのだ、という論調になっているものがあるように思います。

でもローなら品質が損なわれなというわけでもなく、30度で6ヶ月保存してたはちみつより、70度で2時間加熱処理したものの方がHMF(はちみつの劣化の判断に用いられている有機化合物)が少ないとニュージーランドのはちみつメーカーのAirborne Honeyが報告しています。

ローハニーブームで私が思っていることは、

1,期待するほどローハニーと普通のはちみつと栄養の差はない

2,加熱処理=ダメ、という考えだと、品質管理を厳しく行っている良質なはちみつメーカーのはちみつも否定することになり、消費者、生産者のどちらにとっても特にならない

ということです。

はちみつ業界は、結構闇がある業界で、必ずしも良質のはちみつだけが出回っているわけではないのが、問題をややこしくしているんですよね、、、

良質なはちみつを買う秘訣、まずはあまりにも安いものには注意。低温で固まらないものにも注意(ただし、花の種類によりもともと固まりにくいものもある)。これらは水増しされているはちみつの可能性ありです。

一番良いのは顔の見える生産者で、生産方法なども公開されているところから買うことでしょうか。あと、本物のはちみつは、植物により本当に味や香りが全く違うので、よくティスティングして好みの味や香りのものを見つけて楽しむというのもひとつの予防策かと思います。

ちなみに、全国はちみつ公正取引協議会に加入している生産者は、「生」という表示をはちみつに付けることを規約で禁じられています。なので、実は国産はちみつには、意外と「ローハニー」なものもあるのかも知れません。