東京で、絶対見ようと思っていた映画、「未来の食卓」を観てきました。これはフランスのある小さな村の、「小学校の給食と、高齢者の宅配弁当をオーガニックにする」という試みを追ったドキュメンタリー映画です。食育や味覚教育といった方面で興味があって観に行ったのですが、内容的には農薬や除草剤の被害にフォーカスされたもので、非常に考えさせられるものでした。
映画の中で、農薬の健康被害に警告を発する研究者が、「エビデンスはあるのか?」という質問に、「エビデンスなど悠長なことを言っている場合ではない。現実をみなければならない」と答えていたのが非常に印象的でした。
確かに疫学的エビデンスなどと言っていたら、間に合いません。20年後に「○○の農薬散布は白血病の主要原因」などと言われてもどうにもなりませんから。
農薬・除草剤、日本は世界でも使用量トップクラスです。ただ、農薬類は作物によっても使用薬剤、使用量が異なるので、単純に使用量の合算では比べられないですし、日本は残留農薬に関しては厳しい基準を設けているので、「世界一レベル、あわわわー」と単純に思わない方が良いとは思います。それでもやはり農薬・除草剤の被害というものを、私たちももっと積極的に考えていかないとならないのは確か。日本は全く農薬による健康被害・影響はありませんということはないでしょうから。
私は以前、地域間健康格差についての研究をしていたのですが、農薬散布というくくりでものを考えておらず、これを統計にかける際考慮しなかったのですが、もしかしたら農薬散布地域とそうでない地域の疾病構造には差があるかも知れませんね。
「農薬を使わないと作物が出来ない」という発想から、「どうやったら農薬を使わない農業が実現できるか」「できることからやってみよう」というように、考えを国全体で変えていくべきでしょう。
私自身の農薬類に対する姿勢は、「恐れすぎず、安心しすぎない」です。自宅での料理に使う野菜は、できる範囲でオーガニックにしていますが、果物や、豆腐など加工されてしまっているもの、外食に関してはそこまで求めません。外国の作物に関してはポストハーベスト(収穫後に使う農薬)が気になるので、扱いや量には気を付ける、といった程度です。日本はそもそもオーガニック製品が少ないので、できることも限られていますし。
こちらの2007年の統計をみてみると、
オーガニック作物の作付け面積が一番大きいのは、オーストラリア。オーガニック農地/全農地面積の割合いが高いのは、リヒテンシュタイン(約30%)、オーストリア(13%)、スイス(11%)あたりの比較的冷涼な地域のようですね。
ちなみにフランスは1.92%、日本は0.14%となっています。
0.14%の農家の方を微力ながら応援してゆければと思っています。