先日のにんじんサラダのレシピを見たダイエット中の友人が、「美味しそうだけど、にんじんはGI値が高いから…」と感想をくれました。
■にんじん=GI値が高い、というのは結構浸透している概念のようですが、現在にんじんのGI値はかつてより低い値と考えられています。にんじんを食べるときに(甘味料で味付けしたりしなければ)、GI値を気にする必要はありません。
一番最初の研究(1981年)でにんじんのGI値131(この研究では白いパンを100としています)、というのが非常に印象的に焼き付いているのかも知れません。現在は発表機関によって上下はありますが、米・豪では大体40-60くらいとされている模様。
■何故初期のにんじんGI値は高かったのか?
○最初の研究の被験者は5-10人、GI値は人によって非常にばらつきのある値が出るため、被験者が少ないこともあり高値が出てしまった可能性がある。
○GI値はカナダの研究者によって発案された考え方ですが、カナダのにんじんの糖質が他国のにんじんに比べて高い可能性がある。
(シドニー大学調べだと、カナダの茹でたにんじんのGI値は92、オーストラリアの茹でたにんじんのGI値は41)
■そもそもGI値、グリセミックインデックスというのは、ある食品を炭水化物量50g摂ったときの血糖値の上がり具合を、ブドウ糖を摂った時を100の基準値として相対的な数値で表したもの。
ブドウ糖50g=炭水化物量50gですが、にんじんは、100g中の炭水化物量は9g。にんじんで50gの糖質を摂る場合は、にんじんを560g(約4本)食べるわけですが、実際に4本も一度に食べることは無いので、摂取量を考慮しないで並べるのはどうかということで、近年ではGL(グリセミックロード、グリセミック負荷)という考え方が出てきています。
これは、 (GI値/100)×(1食分に含まれる炭水化物g)で求めます。これだと、茹でたにんじん(オーストラリア産)約半本のGL値は1.9。茹でじゃがいもが10.9ですから、にんじんのGLが決して高くないことが分かると思います。
現在この手の研究を最も熱心にやっていると思われるのはシドニー大学。ご興味のあるかたはこちらのサイトをご参照ください(その名もglycemicindex.com!)
ところで、GI値、GL値、減量に効果があるか?ということなのですが、これまでの研究から見るとGI値(あるいはGL値)は減量に効果がある、無いという論文は両者あり見解は定まっていませんが、やはりGI値より大事なのはカロリーの模様。
それに、GI値は非常に個人間の差が大きく、被験者が少ないため、統一基準というのが未だ定まらなく開発途上中の値。
糖尿病や低血糖症など、血糖値に気を配る必要のある疾患以外の方が、あまり神経質に気にする必要は無いと思いますよ。