Netflixの「運命の子供たち」というドキュメンタリーを何となく見たのですが、これが素晴らしかった。
インドの最下層民への差別や貧困を無くしていくことを目的に、インド出身の篤志家が創設した14年制の寄宿学校Shanti Bhavanの生徒たちを6年に渡って追いかけたもので非常に見ごたえがあります。
原題は、「Daughters of Destiny」原題通り「運命の娘たち」にして欲しかった。
なぜなら主人公は5人の女の子で、カーストの最下層であることに加えて、女性であるという2重ハンデを背負っていて、インドの女性差別のすさまじさにも焦点が当てられているから。
Shanti Bhavanでは、カースト最下層民の中から賢い子を選び、4歳から14年間寄宿学校で無料で教育と生活を施し、大学へも無料で進学させています。
貧しさと差別によって抜け出すことが出来ない最下層民の生活。子供に教育を施すことで、そのループから抜け出し、この子供たちが経済的に自立し、家族を助け、家族以外の人も少なくとも100人は救えるようにということを学校は目標にしています。
そうすることで、少しずつ社会を変えていこうという試み。私財を投げ売ってこの事業に取り組む校長先生は、「子供たちには、将来大きな家に住んで裕福に暮らすことを目標にするような人間になって欲しくない、より多くの人を救える人になって欲しい、国を牽引するリーダーとなってほしい」と語っていますが、子供たちもその期待に応えるために必死に勉強しています。
子供たちは1家族からひとりだけ選ばれて学校に来て、西洋的な思想と教育を受けているので、地元に帰ったときに家族や周囲の人と考え方が合わなくなっていて、その軋轢にも苦しみます。
また、家族の期待を背負っていて、将来は一族郎党養っていかねばならないというプレッシャーの中で、インドの過酷な受験戦争を勝ち抜かねばならず、そのストレスは大変なものであることが分かります。
先生も「好きな仕事に付きなさい」なんて甘っちょろいことは言わない。各々に確実に稼げる道を薦めている。
6年という長期スパンで追跡しているドキュメンタリーなので、5人の女の子たちの変化や進路、社会に出ていくところまで収められています。
ドキュメンタリーの中で追跡されている女の子の一人は、ジャーナリスト志望だったのですが、Shanti Bhavanのことを本に書いて成功しているようです。
ドキュメンタリーのその後も気になり、検索をしましたが、便利な時代なので学校のインスタなどから現在の様子も分かり、それぞれ輝いて頑張っている様に励まされます。
しかし、去年インドに行ったときも衝撃を受けましたが、すでにとてもとても国力では敵わないですね。日本の子にこのモチベーションで勉強しろと言っても無理。貧しい国の子が勉強して頑張る→豊かになると頑張れなくなる、この繰り返しで世界は栄枯盛衰していくのでしょうね。