Monthly Archives: 11月 2017

食事療法でがんは治らない

11月 18th, 2017 in がん

食事療法でがんは治りません。

これは現医学界のコンセンサス、
更に一般常識だと思うのですが、
民間療法分野ではどうやらそうでもないようです。

書店に行けば、末期がんが食事で治った的な本や
がんは食事で治せると誤解させるタイトルの本が
ゴロゴロあります。

私も何冊か本を出しているので、
実用書のタイトルは出版社の意向で決められてしまって
著書の希望が反映されないことがあるのは承知しています。

本が売れない時代なので、
その本を必要としているターゲット層に手にとってもらえるよう、
あの手この手でタイトルは考えられているので、
内容とタイトルが乖離している場合も多々あるのが現状です。

なので、がんは食事で治る的な衝撃的なタイトルの本も、
読んでみれば、食事療法だけでがんが治るという話ではなく

「やっぱり食事療法でがんが治るってことではないんだ。
治療をより効果的にするために、
バランス良く食べましょうってことなのね」

という内容かと思いきや、
ガチで食事でがんが治る的なことを書いている本が存在し、
更にとても売れているようです。

中にはあれを食べるなこれを食べるなと
禁止食品が多くて、これをがん患者さんが行ったら、
たちまち痩せて体力を失って
治療に悪影響を及ぼしそうな指南書まである。

食事でがんなんて治らないですよーーー。

食べ物は薬みたいに即効性はありません。
むしろ食品にそんな即効性があったら恐ろしい話です。

健康な時ならひっかからないこと、
がんは食事で治る、というファンタジーに引っかかって、
治療や余命に差し支えることがなきよう
いま一度言っておきます。

食事療法でがんは治りません。

食事療法でがんが治ったという
まともなエビデンスはないですよ!

抗がん剤しびれ予防のつづき

11月 17th, 2017 in がん

手術用手袋による血流圧迫に
しびれ副作用予防効果があることを知ってからは、
身近な方で、手足のしびれの副作用が報告されている
抗がん剤治療を受ける方には、
研究の内容や友人が行った圧迫方法などについてお伝えしています。

でもこれで副作用が本当に予防できるかは分かりません。

研究でも副作用予防効果が全員にみられたわけではないですし、
私の友人はオリジナルの血流圧迫を行って、
しびれの副作用は出ませんでしたが、
これが本当に圧迫による効果だったのかは不明です。

もしかしたら、なにもしなくても副作用は出なかったかもしれない。

ただ、手足の指を圧迫する方法は、
手術用手袋を使う、輪ゴムを使う、テープを使う、
加圧靴下を使うなどいろいろありますが、
あまりお金もかからず、気軽にチャレンジできるので、
やってみて損はないと思っています。

実際にやってみようと思う時、
主治医にどう伝えるか?
これもまた結構ハードルが
高いことのひとつかと思います。

乳がんでのパクリタキセル投与では
既にエビデンスがあるので、
もし主治医の先生がこのことを知らなくても、
エビデンスがあることを伝えれば、
抗がん剤投与時に血流圧迫をしたい旨
受け入れてくださる場合が
多いのではないかと思います。

パクリタキセルは乳がん以外のがん、
胃がんや子宮体がん、卵巣がん、
肺がんなど他のがん治療にも
使われる抗がん剤ですが、

乳がん以外のがんを専門としている方には、
まだあまりこの研究に関しては、
知られていないように思います。

私の友人は、関東の大規模病院で治療を受けていましたが、
主治医の先生は、パクリタキセルのしびれ副作用予防に関して
ご存知ではありませんでした。

友人の主治医は、
柔軟な考えをお持ちの医師だったことと、
彼女が薬剤師であったため
「薬に関しては僕より詳しいと思うから」と、
彼女の考えを尊重してくださったので、

パクリタキセルはもちろん、エビデンスのない
オキサリプラチン投与の際の圧迫も快諾してくださいました。

でも、普通はなかなか先生にこうした
規定外のことをやりたい旨伝えるのって勇気がいりますよね。

忙しそうな先生に、説明するのも気がひけるかも知れません。

主治医に話しにくい場合は、
まずは看護師さんに相談してみるのも良いと思います。

また先生によっては、こうした規定外のことを
いちいち認めているとキリがないので、
一律禁止と考える方もいると思いますが、
聞いてみる分にはリスクゼロですし、
これで副作用が予防できればラッキーなので、
パクリタキセルやオキサリプラチンなど、
手足へのしびれの副作用がある抗がん剤治療を受ける方は、
手足の血流圧迫を提案してみることをおすすめしたいと思います。

抗がん剤によるしびれ予防セルフケア

11月 16th, 2017 in がん

私の友人は、スキルス性胃がんの再発後、
抗がん剤治療は、
ファーストラインでオキサリプラチン、
セカンドラインでパクリタキセルを受けました。

オキサリプラチン(エルプラット)も
手足の痺れなど、
末梢神経障害が副作用として出ることが知られています。

こうした末梢神経障害がなぜ出るのか、
メカニズムの詳細が分かっていないとのことなのですが
(国立がんセンターがん情報サービスより)、

パクリタキセルの副作用予防研究からは、
手足への血流を阻害することが、
しびれ予防に効果的なことが分かります。

抗がん剤は、血液に乗って全身の血管隅々まで届き、
それによってどこにいるか分からないがん細胞をも
攻撃するわけですが、例えば胃がんの場合、
手足の先にがん転移が転移するということは、
まず起こらないことだと思われます。

ですから、手足の先まで抗がん剤が行き届かなくても
治療そのものには差し支えないはず。

オキサリプラチンでパクリタキセルと同様の効果が
得られるかは分からないけれど、
チャレンジしてみても、
治療には差し支えることもなさそうだし、
予防効果が得られればラッキー。

以上のように考え、
ファーストラインのオキサリプラチンから
友人はしびれの副作用予防のために、
抗がん剤投与の際に、
手足への血流を阻害することにしました。

主治医への了解はもちろん得ました。
また、友人は薬剤師だったので、
薬剤の作用機序については詳しく、
更に、製薬会社の方の意見も仰いだ上での自己判断でした。


冷却グローブによる副作用予防は、
自分で用意して持ち込むのは難しいので、
圧迫による方法を取ることにしました。

ただ、手術用の手袋の小さいサイズというのも、
手術用手袋をいくつか取り寄せてみないと、
どれが自分にとって
ちょうど良い圧迫具合になるかが分からないので、
これもそこそこハードル高いんですよね。

のんびり手術用手袋を
取り寄せている時間もありませんでした。

抗がん剤治療というのは、
前もってゆっくり準備して臨めるというものでもなく、
がんが発覚して、治療に対する心の準備とか、
治療への理解など備えができないうちに、
あれよあれよという間に始まってしまうんですよね。

そこで、身近にあってすぐに用意できるものでの圧迫を考え、
指サックと輪ゴムを使って、
とりあえず手足の指先を締めることにしました。

締め付け具合は、
小さめの手術用手袋の圧迫具合を想定して、
指先がやや冷たくなるくらいの締め方、

ちょうどバンドエイドなどをちょっとキツめに
指に巻いてしまったとき、
指先が白く冷たくなってしまう時くらいの感じを目指しました。

ゆくゆくは手術用手袋を取り寄せることも考えていたのですが、
結局この方法が簡単で、
彼女にとってやりやすい方法だったので、
ずっとこの圧迫法で治療を受けることになりました。

研究では抗がん剤投与の前後30分と併せて
血流阻害していますが、
彼女は抗がん剤前後の点滴でも締めていました。
これは特にねらいがあってのことではなく、
点滴途中に眠ってしまったりするので、
自分で圧迫の時間を管理するが難しかったためです。


その結果、
オキサリプラチンを受けて4ヶ月後くらいからは、
冷たいものに手先が敏感になりピリつくという症状が
少し出たものの、しびれの症状は全く出ませんでした。
(オキサリプラチンの投与期間は半年ほど)

また、パクリタキセル(投与期間は3ヶ月)でも
手足のしびれは出ませんでした。

また、どちらの抗がん剤でも爪への障害は出ませんでした。
※パクリタキセルでは爪の色がほんの少し黒ずみました

つづく

パクリタキセルによる痺れ予防その③

11月 15th, 2017 in がん

前回からの続きです。

パクリタキセル(タキソール、アブラキサン)など
タキサン系の抗がん剤投与による、
手足のしびれの副作用を防止する方法として、
もうひとつは、
マイナス25度〜30度に冷却したフローズングローブを使う方法です。
Journal of the National Cancer Institute, 1 February 2018,
https://doi.org/10.1093/jnci/djx180

この方法も、冷却によって手足の血流を阻害することで
しびれ予防ができることが報告されています。
また、こうしたフローズン(アイス)グローブを使った
副作用予防研究は、この他にも以前から各地で行われているようで、
しびれや、爪や皮膚へのダメージへの改善効果が認められているようです。

ただ、冷却そのものがストレスが多い方法のため
離脱者もあるようです。

確かに90分間も凍ったグローブに手足を入れているのは
大変そうです。

あと、冷却ミトン一組が3万円くらいするようなので、
手術用手袋に比べるとそこもハードルが高いかもしれませんね。

手袋による圧迫法も、
冷却グローブも研究がすすめられているので、
今後抗がん剤治療をするときに、
副作用予防で取り入られていく可能性大ですが、
でも現在進行形で抗がん剤治療をしている方は、
ゆっくり研究結果を待っている時間はありませんよね。

そこで、友人が抗がん剤を受ける際に、
既存研究を参考にして、
自己流で行った末梢神経のしびれ副作用予防について
次回書きたいと思います。

パクリタキセルによる痺れ予防その②

11月 14th, 2017 in がん

昨日のパクリタキセルによるしびれ予防の続きです。

パクリタキセル(タキソール、アブラキサン)など
タキサン系の抗がん剤投与による、
手足のしびれの副作用を防止する方法のひとつ、
小さいサイズの手術用手袋を使う研究は、
大阪赤十字病院と、京都大学関連施設で行われたものです。
Breast Cancer Res Treat (2016) 160:61–67
DOI 10.1007/s10549-016-3977-7

この研究では、
乳がんの患者さんに、パクリタキセル投与前後90分間
利き手だけに小さめの手術用の手袋を
2枚重ねで着用してもらうことで、
手への血流を圧迫阻害して、
手袋をしていないもう片方の手に比べて
しびれの副作用が予防できるかを調べています。
(実験対象者42名)

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研究結果
しびれ感の出現率:

手袋をした手 21%

手袋をしなかった手 76%

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この結果を見ると、多くの方で
手袋をして血流を阻害した手の方が
しびれの副作用が出にくかったことが分かります。

実験の概要などは、
日本癌治療学会の学会抄録アーカイブ、
http://archive.jsco.or.jp/detail.php?sess_id=8111
に発表内容が記載されているので御覧ください。

同研究は、両手に手袋を着用する方法に変えて、
現在第3相の治験が行われているようなので、
広く臨床の場で採用される日も近いのかもしれません。

つづく